ゲーム開発を始めてみたいけど、年齢を理由に諦める人がなんと多いことか。いや、これはゲーム開発に限らない。ピアノを始めてみたい、YouTuberを始めてみたい、など、あらゆることに当てはまるだろう。

中年になると、なにかと体力や気力が衰える、という認識はなぜだか割と一般的だ。しかし、本当はそうじゃない。その社会通念が自分に当てはまる根拠はどこにもないのだ。むしろ、中年サラリーマンだろうが、小学1年生だろうが、御年90歳だろうが、年齢は関係ない。やりたいと思ったその瞬間こそ、やり始めるのに一番若いタイミングなのだ。

人生は結局、やるか、やらないかだ。人生100年時代において、何かを始めるには遅い、というケースはほとんどない。ゲーム開発なんて、なんだか難しそうで自分には無理かもしれない、という漠然とした印象だけで決断するのはもったいない。やってみないと本当のことは何もわからないのだ。

ゲーム開発は、一般人にはハードルが高いものと思われがちなのは事実だろう。未経験者がゲーム開発と聞くと、プログラミングを覚えなきゃいけないとか、デザインセンスが無いとか、作曲なんてできないとか、自分にはできそうにないことを色々想像してしまうものだ。この「難しそう」という印象は、年齢とともに強くなっていく。

しかし繰り返すが、年齢は関係ない。「難しそう」というのは、つまり「自分には必要なスキルを習得できなさそう」ということだろう。なぜそう思うのか。それは「自分の年齢では脳が衰えてしまったし、気力も体力もないから新しいことを覚えられない」と思い込んでいるのだ。そう思い込むのは、自分の若い頃や周りの若い人たちと比べているのだろうか。なんともナンセンス。完全に自分と同じ生活をしている人間との比較ができなければ、その差異は有意ではないだろう。

ところで、若宮正子さんをご存知だろうか。「hinadan」という雛人形を並べるシニア向けゲームで一躍時の人になったお方だ。当時「最高年齢のアプリ製作者」として Apple のCEO ティム・クックから会いたいと直接声がかかったほどだ。この方も「おもしろそう」と思って様々なことに挑戦されており、頭が下がる。年齢は関係ない、という事実をまさに証明してくれている。

『ぼくらの履歴書 Powered by エン転職』より
「面白そう!」から始まった81歳のアプリ開発。好奇心が自分の世界を拡大する|若宮正子の言葉

筆者はまもなく40歳だが、2年前の2020年からプログラミングを始め、ゲーム開発もやるようになった。今が人生で一番、心身の調子が良いと感じている。興味さえあれば、あらゆる新しいことを覚えられる感覚がある。

ここで、ゲーム開発を始めるには具体的に何が必要なのかを挙げてみた。ゲーム開発は以下の3つの条件が揃っていれば誰でも始められる。

  • ゲーム開発に興味がある(気持ち)
  • 毎日 1 時間かそれ以上をゲーム開発に当てられる(時間)
  • PCとインターネット環境がある(環境)

たったこれだけだ。どうだろう、仮に「難しそう」と感じていても、始めるだけなら誰でも始められそうな気がしてこないだろうか。

ゲーム開発を始めてみたいけどまだ始めていない人へ。さあ今この瞬間に始めてしまおう。このあとの続きの文章はもはや読む必要はない。直ちにゲームエンジンをレッツ・ダウンロードだ。

主要なゲームエンジンのサイト一覧:



と、ここまで説明してもまだ躊躇している人はいるかもしれない。プログラミングやグラフィックデザイン、作曲などのスキル習得をするなんて到底無理だと思っている人がいるんじゃないだろうか。

確かに、一昔前の個人ゲーム開発は本当にハードルが高かったかもしれない。それは開発環境を整えたり、必要なスキルを身につけるのが大変だったからだ。しかし、今はそうじゃない。インターネット上にはゲームを作るための無料のノウハウが溢れているから、学習するのにお金はほとんどかからない。さらに、今の時代は、ゲームエンジンと呼ばれるツールを利用してゲームを開発するのが一般的だ。ゲームエンジンが、グラフィックの描画、物理演算、カメラ調整、などあらゆる煩雑なことをやってくれる。つまり、開発者はゲームそのものの開発に集中できるのだ。

開発に使うコンピュータだって、インターネットに接続できれば、市販されている基本的なスペックのもので十分だ。ほとんどのゲームエンジンがマルチプラットフォーム対応だから、持っているコンピュータが Windows だろうが、Mac だろうが関係ない。

求められる個別のスキルをとってみても、最初から高度なプログラミングスキルは全く必要ないし、デザインセンスや作曲のスキルがなくても、Asset Store と呼ばれる類のサイトですぐに素材を購入できる時代だ。筆者も作曲のスキルはほぼゼロだ。

さらに、ゲームエンジンによっては、プログラミングが不要なものもある。

例えば「GameMaker Studio 2」という比較的人気の高いゲームエンジンは、ビジュアルスクリプトと呼ばれる機能を有している。これは視覚的に必要なコマンドを並べて繋げていくようなものだ。他にも、アスキー社が開発している「RPGツクール」などのツクールシリーズと呼ばれるツールもある。特定のジャンルに特化したツクール系アプリをいくつも展開している。これらは基本的にプログラミング知識がなくても使いこなせるはずだ。ゲームエンジンも様々な種類のものが世の中に登場してきているので、一度調べてみるのが良いだろう。

まずは入り口としてプログラミング抜きで開発できるエンジンを使ってみる。そして、もっと複雑なゲームを作りたくなったらプログラミングにチャレンジしてみる、という流れでも良いではないか。そもそも最初から大規模なゲームを作ろうとすることが間違いなのだ。MMOでオープンワールドのオンラインゲームが作りたくても、その企画は大事にとっておくべきだ。野球を始めたばかりの少年がプロ野球の試合に出たらどうなるか想像してほしい。ほぼ間違いなく「ああ、自分はなんてできないんだろう」とか「自分にはあんなふうにはなれっこない」と落ち込んでやめてしまうのがオチだろう。

実を言うと、筆者自身も2年前までは、プログラミングと聞くと、自分とは完全に別次元の話だと思っていた。しかし、実際にプログラミングを始めてみて、ググって解って、ググって解って、を繰り返すうちに、独学でもある程度プログラミングを使いこなせるようになった。毎日の進歩はほんの少しずつだ。しかしそれが1週間、1ヶ月、1年と続けていくうちに、いつの間にか十分なスキルが身についているのだから自分でも驚きだ。毎日、少しずつ積み上げることが何より大切なのだ。そして、個人開発というのは、良くも悪くもマイペースに進められる。だから必要以上のストレスやプレッシャーに苦しまずに済む。毎日の学習を積み上げていくにはとても大事なことだ。


ここまで説明で、以下のことがお分かりいただけたと思う。

  • ゲーム開発が難しそうなのはただの印象
  • ゲーム開発のハードルは高くない
  • 興味と時間とネット接続できるPCがあればすぐにゲーム開発を始められる

ではもう一度。ゲーム開発を始めたいと思っている人は、今この瞬間に始めてしまおう。直ちに、ゲームエンジンをレッツ・ダウンロードだ。

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Update
2022/02/28 タイポ修正